空腹時や緊張すると、唾液の分泌量が減って口の中が渇きますが、口の中の渇きは、口臭の原因に!
唾液には、口腔内の細菌の増殖を防ぐ大事な働きがあり、分泌量が減ってくると、細菌が急激に増殖します。
口臭の原因になっている成分は、20種類もあると言われていますが、なかでも”揮発性硫黄化合物(VSC:Volatile Sulfur Compounds)”は、口臭特有の臭いの元。
この揮発性硫黄化合物をつくりだしているのが、おもに口内フローラの悪玉菌です。
口臭の元になるおもな原因物質
口臭特有の臭いの元・揮発性硫黄化合物”には、おもに次の3種類があります。
- 硫化水素(卵が腐ったようなにおい)
- メチルメルカプタン(生臭い、魚や野菜が腐ったようなにおい)
- ジメルサルファイド(生ゴミのようなにおい)
これらの成分のなかでも、硫化水素硫化水素の割合が最も高く、メチルメルカプタンとあわせて口臭の約90%占めると言われています。
また歯周病が原因の場合、メチルメルカプタンの割合が高くなることがあり、糖尿病ではアセトン臭、尿毒症ではジメチルアミン・トリメチルアミン、など、病気によっては特有の臭いを発生することもあるようです。
口臭を「防ぐには、歯磨きなど、日常の生活習慣の中でケアが必要ですが、歯周病など、病的口臭については、きちんとした治療が必要な場合も多くなります。
唾液の分泌量が減少する原因
唾液の分泌量は、1日1~1.5ℓと言われますが、睡眠時や安静時には分泌量が少なくなります。
朝起きたときに、口臭が強くなるのは、睡眠中の唾液の分泌量が少なくなるからですが、ほかにも唾液の分泌量が減少する原因として、おもにつぎの2つが考えられます。
- 年齢とともに唾液の分泌が悪くなる
- ストレスや緊張で口がかわく
唾液の分泌量は、20代でもっとも多く、30代以降減少していき、70代では半分になると言われますが、高齢になると薬を飲むことが多くなり、これも唾液が減少する原因になっています。
降圧薬、抗アレルギー薬、利尿剤などの多くの薬剤には、副作用として唾液を減少させるものが多いようです。
食べかすが残ったままだと口臭の原因に!
当り前ですが、食後、食べかすが歯の間に残ったままだと、食べかすを雑菌が分解して、口臭の原因物質が発生しやすくなります。
やがてう蝕(虫歯)になると、虫歯の部分に残った食べかすを細菌が分解することによって、腐敗臭が発生します。
虫歯がすすみ、歯の神経が死んでしまうと、歯根が細菌に感染しやすくなり、歯根にたまった膿が口臭の原因になります。
食後、すぐに歯磨きをする習慣の人もいらっしゃる思いますが、食後の歯磨きの作法については、諸説あります。
食後すぐの歯磨きはメリット・デメリットどっち?
歯磨きは食後20~30分後にするのがよい、と言われる理由はつぎのとおりです。
食後の口内は、糖分などの摂取によって酸性に傾いています。この状態で歯磨きをすると、酸で柔らかくなった歯の象牙質が削れやすくなります。
唾液は弱アルカリ性なので、口内を中和するだけでなく、象牙質を再石灰化してもとの硬さにもどすはたらきがありますから、食後すぐではなく、20~30分ぐらいたってから歯磨きをしたほうが良いといわれる根拠です。
また唾液には、殺菌作用や抗菌作用もありますから、あわててすぐに歯磨きをする必要もないわけです。
一方、食後すぐに歯磨きをしても、歯の象牙質はそれほど削れない、とする歯科医もいます。それよりも、虫歯や口臭の原因になる食べかすを早く除去したほうがメリットがあるとの説。
食後すぐ、食後20~30分後、どちらもメリット・デメリットがありそうですが、正しい磨き方をしていれば、歯へのダメージも少なく、口臭ケアにつながるのは間違いありません。
口の中が渇くと悪玉菌が増えて口臭の原因に!
口の中にも、腸内と同じように口内フローラがあり、善玉菌、日和見菌、悪玉菌が棲んでいます。
唾液には殺菌作用があり、悪玉菌が増殖するのを抑えています。朝起きたときに、吐く息が臭いのは、睡眠中の唾液の分泌量が少ないため、口内フローラのバランスがくずれているから。
善玉菌が優位であればよいわけですが、年齢とともに善玉菌である乳酸菌は減っていきます。
ある調査によれば、唾液中の乳酸菌は、35~44歳の人で約30%、55歳以降になると50%の人が歯周病になっているとの結果もあるようです。
口内の善玉菌を増やして口臭ケア
唾液の分泌量が減って口内が渇くと、口内フローラのバランスがくずれ、悪玉菌が優位になるわけですが、これを防ぐために善玉菌をおぎなう方法があります。
悪玉菌を抑えるはたらきがある唾液の分泌量は、年齢とともに減っていきますから、善玉菌である乳酸菌をおぎなうことは、口臭ケアに効果的な手段といえます。
口臭ケアは、歯周病・虫歯、さらには舌苔・膿栓など、さまざまな原因がありますが、まずできることから早めに始めるのがベストです。
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